三明六通を備える俱解脱の大阿羅漢における三明とは、漏尽明(ろうじんめい)、天眼明(てんがんめい)、宿命明(しゅくめいめい)である。
漏尽明は、貪(どん)、嗔(しん)、痴(ち)、慢(まん)、疑(ぎ)、惡見(あくけん)の煩悶現行(ぼんもんげんこう)が全て断ち尽くされ、見惑(けんわく)と思惑(しわく)がなくなった状態である。
天眼明は、天眼通(てんがんつう)を発起させ、天上天下の大千世界(だいせんせかい)まで全て観察できる。
宿命明は、自他の前後各八万大劫(はちまんだいこう)の事柄を知ることができる。
六通とは、神足通(しんそくつう)、天眼通、天耳通(てんじつう)、他心通(たしんつう)、宿命通、漏尽通(ろうじんつう)である。
外道は、前五通しか得ることができず、漏尽通は得られない。俱解脱は慧解脱(えけいかい)と定解脱(じょうげだつ)を兼ね備えている。慧解脱では、禅定が初禅定(しょうぜんじょう)に達し、解脱生死(げだつせいし)の智慧を持ち、智慧によって三界(さんかい)を出離する。定解脱では、四禅八定(しぜんはちじょう)と神通(しんとう)を有しているが、解脱智(げだつち)はなく、寿命の終わりに禅定に依拠して三界を出離し、解脱を得る。慧解脱と定解脱の二つの功德(くどう)を有するのが、俱解脱の三明六通の大阿羅漢である。
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