意根の倶生する人我執と法我執

「倶生」とは、五蘊が生来から伴っており、五蘊と共に現れ、前世から持ち越されたものであり、新たに学習・発生したものではなく、後天的な薫習によって獲得されたものではない。倶生の人我執とは五蘊と共に現れる人我執を指し、前世の執着習気が今世へ引き継がれたものである。倶生の法我執とは五蘊と共に現れる法我執を指し、前世の執着習気が今世へ持ち越されたものである。

第七識は連続識であり、無始劫以来断滅したことがない。各五蘊が新たに出生する際、第七識は新規に出生せず、前世から継続したままであるため、その習気・慣性・秉性は依然として前世と同一で変化がない。その全ての認識も前世と同様で変化を伴わない。第七識は何を認識するか。第七識は五蘊を認識し「これが我である」と知る。十八界を認識し「これが我であり我の所有物である」と知る。第七識は第八識を依りどころとして一切の法を認識し「全ての法が我であり我の所有物である」と知る。第七識がこのような認識を持ちながら、これらの法が我でなく第八識が顕現した仮の法であることを知らないため、五蘊十八界の法に貪執し、第八識が顕現させた一切の法に貪執する。

第七識意根は前世において五蘊と十八界を我として執着し、今世出生直後（母胎内においても）依然として五蘊と十八界を我として執着する。前世の意根が一切の法を我として執着したように、今世出生時も同様の執着を継続する。故に意根の人我執と法我執は五蘊の出生と共に具わり、現世での学習や薫習を必要とせず、第八識以外の如何なる法にも依存せずにこれらの執着を単独で保持し、刹那ごとに現行し得るのである。