禅に境界はないが、あらゆる境界に禅は存在する

僧が趙州に問うた：「如何にして参禅し開悟するか？」百歳の趙州は急ぐ様子で言った：「申し訳ないが、今は教えられぬ。内急（用便）だから」。そして趙州は外へ出かけたが、突然足を止め、僧に言った：「老僧はこの年で古仏と呼ばれるが、内急という小さな事さえ、代わりにやってもらえず自分で行かねばならぬ」。僧はこれを聞いて大悟した。

僧が趙州に参禅開悟の事を問うた時、老趙州はすぐに自ら禅を示現し、その僧にどこで悟り入るか、第八識がどこにあるかを教えた。僧の問いが終わると、趙州は禅相を振る舞い始め、至る所で禅がどこにあるか、如何に作用するかを示した。我々は知るべきである。世俗法における一切の大小事は誰が為すのか、誰が為し誰が為さぬか、どう為すのかを。また、万法が確かに虚妄で実体なく夢幻の如きことを悟るべきである。智者は一聞きで千の悟りを得る。どうして禅を一つの境界と言い、禅にどんな境界があると言えようか。禅は境界法ではないが、あらゆる境界に確かに禅は存在し、禅を離れず、境界法がある。

南泉は更に常に第八識を振る舞わせた。そうでなければ、彼は猫を斬る術がなかったであろう。趙州が南泉の猫斬りを聞いた後、履物を脱ぎ頭に乗せて出て行ったのも、まさに振る舞いを示したものだ。南泉はこれを見て大いに讃嘆し言った：「もしお前が居合わせたら、私の代わりに猫を斬って示現しただろう。私が猫を斬る必要はなかったのに」と。