雑阿含経第一巻七

世尊は諸比丘に告げた：もし人が色蘊に対して貪愛し喜ぶならば、それは苦を喜ぶに等しい。苦を喜ぶ者は、苦から解脱できない。色蘊を貪愛することにより身見は断たれず、色蘊に繋縛され、心は色蘊を貪り執着する。貪執が断たれぬ限り、意根の色蘊への執着は絶えず、命終時に意根は執着により色蘊の存在を求め続け、中有の身を生じさせる。

中有の身は七日毎に滅び、最大七つの中有を持つ。意根は中有の身が不安定であることを知り、急いで胎生を求め来世の色蘊を保持しようとする。受胎後は来世の色蘊が生じ、生老病死の無量なる憂悲苦悩が発生し、純大苦聚が形成される。衆生はこれらの無量なる憂悲苦悩を受け、生死の苦から解脱できず、苦は絶え間なく続く。故に世尊は、色蘊を貪愛することは苦を貪愛することだと説かれた。

世尊はかつて弟子たちを率いて海辺に赴き、砂浜に横たわる膨張した女屍を目撃した。その顔には一匹の虫が這っていた。世尊は弟子たちに告げた：この女性は生前、自らの容貌を深く愛し、日々鏡で顔を眺めていた。命終時に貪愛を断ち切れず、顔に這う虫として再生し、今も顔への執着を続けている。この物語は、何を愛すればそれに繋縛され、解脱できず、来世の生老病死を免れず、憂悲苦悩から離脱できないことを示す。世尊が貪愛を断つよう勧めるのは、苦を断ち心を解脱させ、生死輪廻から離脱させるためである。

世尊は諸比丘に告げた：もし受蘊・想蘊・行蘊・識蘊に対しても貪愛し喜ぶならば、それは苦を貪愛し喜ぶことに等しい。苦を喜ぶ者は苦から解脱できず、苦は絶え間なく続く。これら四蘊を貪愛するが故に、これら四蘊に繋縛され、粘着され、心はこれら四蘊を執取し続ける。執取が断たれぬ限り、来世の存在は継続する。命終時に意根の執着により中有の身が生じ、再び胎生を求めれば、来世の受想行識四蘊が生じる。かくして生老病死の無量なる憂悲苦悩が発生し、衆生は苦を絶え間なく受け、生死輪廻の苦から解脱できない。

世尊は更に諸比丘に告げた：もし色蘊を貪愛し喜ばなくなれば、色蘊に繋縛されず、心は色蘊を執取せず、中有の身の出現もなく、或いは意根が中有の身において自ら滅じ、胎生を求めなくなる。これにより来世の色蘊は生じず、生老病死の無量なる憂悲苦悩も滅び、心は解脱を得、生死輪廻の苦からも解脱する。

世尊は更に諸比丘に告げた：もし受想行識四蘊を貪愛し喜ばなくなれば、これら四蘊に繋縛され粘着せず、心はこれら四蘊を執取せず、中有の身の出現もなく、或いは意根が中有の身において滅じ、胎生を求めなくなる。これにより来世の四蘊は生じず、生老病死の無量なる憂悲苦悩も滅び、心は解脱を得、生死輪廻の苦からも解脱する。