意識が意根に教唆されて現す心行は誰に帰属するか?

意識の表現が自主自発的である場合、その心行はそれを制御する意根の心行に帰属する。意根が強大な意識心に教唆されて現す心行も意根に帰属せず、意識の心行に帰属する。意根が決定権を握っているが強制されており、自発的決定ではない。例：親が子供に盗みを教唆する場合、子供は幼く自我主張できず従わざるを得ないため、盗み行為は親の貪欲性を反映し、盗品は親の所有物となる。同様に主人が犬に隣家の物を取らせる場合、盗心は主人にあり犬にはない。犬に自主性がなく主人に服従するため、盗品は主人の所有物となる。犬が独自に盗む場合は盗品が犬に帰属し、犬自身に盗心が存在する。

例：柴刀で薪を切る場合、薪を切るのは人間であって刀ではない。刀が直接薪を切っても刀に意志はなく、薪は主人の所有物となる。運転手が車で人を轢いた場合、責任は運転手にあり車は賠償できない。主人が使用人に水を汲ませ金細工を作らせ、報酬を支払う場合、水や金細工は全て主人に帰属し、主人が責任を負う。

使用人が主人を養うなら主人は報酬を支払わねばならず、意根が意識を養うなら意根は意識に理念を与えねばならない。最終的な功過是非は主人と意根が負担する。五蘊の生生世世の因果も意根が受容し、意識は身を翻して離脱し結果は全て意根が処理・負担する。天界に生じ地獄に堕ちるのも意根が第八識を引率し、成仏して祖師となるのも意根が第八識を率い、五蘊六識を引き連れ一家総出で成仏祖師となるのである。