仏法の修証には極大なる善根福徳を要す

仏法が証得・修行困難であるのは、衆生が三大無量劫を修行する必要があるからである。もし仏法が容易に理解・証得・修行可能ならば、衆生は三大阿僧祇劫を修行せずに仏道を円満成就するはずがない。もし仏法が容易に理解できるなら、仏は衆生に相応の善根福徳と戒定慧を強調しないはずである。三蔵十二部経を五遍読んだ者でも、仏法の縁に触れず、悟道の影すら遠く望めない。衆生は無量劫にわたり迷妄に沈み、虚妄の世間法に浸りきっているため、甚深の仏法を真に理解するのは容易ではない。

仏が四十九年間説法した後、涅槃に入る時点でも無数の衆生が仏法を半解しか得ておらず、中には半解さえ得ていない者もいた。阿難はまさに衆生の愚癡が仏法を誤解させる難しさを目の当たりにし、仏涅槃後百年を経て自ら娑婆世界を離れる決意をした。本来なら禅定力と福徳によって長久に世に住し、仏陀に代わって衆生を教化できたはずである。仏涅槃後、老僧が小僧に解脱道の法を「水老鶴」と誤読して教えていた。阿難が訂正を求めると、老僧は改めず「阿難が老いて仏の説法を憶えていない」と逆に非難したため、阿難は悲嘆に暮れて娑婆世界を去ったのである。

繰り返し強調するが、福を修し善根福徳を培うよう促しても、これを実践する者は稀である。福を修さぬ無福の者が仏法を理解できないのは当然であり、仏法は大福徳なき者には容易に理解・証得できない。仏法を証得するには大福徳が必要で、大福徳あって初めて大智慧が生じる。小根小智では、甚深なる仏法とは到底相応しない。世間法の成就ですら福徳を要する。ましてや生死を超える出世間の大事、無量劫の煩悩を解脱する大事、ましてや仏道成就という不可思議な極大なる事柄においてなおさらである。己のみを思い自利に囚われた心では、無我性の如来蔵大法とは決して相応しない。