慢心我の心が軽微になって初めて我見を断つことが可能となる

一切の争いや闘争は、我があるからこそ発生し、我がなければ争いも闘争も起きない。無我の性質は程度に分かれ、我の性質も程度に分かれる。我の性質が軽微であればあるほど、我見を断ちやすく、逆であれば断ちにくい。我見を断つ過程において、我の性質は次第に軽減されていく必要があり、無我に近づいて初めて最終的な観行において我見を断じることができる。

平時の修行過程においては、常に自己の我が次第に弱まっているかどうかを点検しなければならない。これは人との接し方や世事において、自身の煩悩が依然として重いかどうか、慢心や執着がまだ強いかどうかを観察することである。もし自身の慢心が重く、我の心が強いと観察されたなら、自らを調伏し、抑制する方法を模索しなければならない。

人はなぜ慢心を抱くのか。自己の五陰身が他人より優れていると考え、自己が他人より重要であると認識するため、慢心が生じる。このような知見を降伏させなければ、我見を断つことは難しい。自身の五陰身を真実と見なし、覚知心を真実と見なし、所有する色声香味触法や財色名食を真実と見なす時、内心は自覚的あるいは無自覚的に慢心を生じ、他人を凌駕し、心に高低不平を抱く。修行過程においては、これらの慢心を克服するよう努めなければならず、慢心や我の心が軽微になった後で初めて、我見を断つ可能性が生じる。

あらゆる煩悩は我に由来し、我がなければ煩悩もない。我が無ければ無いほど煩悩は減り、究竟の無我に至れば、煩悩及び習気は全て断尽される。