念を離れた霊知の心とは一体何か

第八識はすべての時を遍り、すべての地を遍り、すべての場所を遍り、すべての界を遍り、すべての法を遍る。すべての時を遍るという意味は、第八識が刹那刹那存在しており、これまで衆生から決して離れたことがなく、第七識の意根からも離れたことがなく、五陰からも離れたことがないということである。すべての地を遍るという意味は、三界九地の衆生にはすべて第八識が存在しており、すべての衆生には第八識があり、三界九地に生きるすべての衆生には第八識がある。たとえ三界を出て無余涅槃に入っても、依然として第八識は存在するが、ただ衆生自身は存在しなくなるだけである。

すべての場所を遍るという意味は、第八識が六根を遍り、また六塵を遍る。衆生の六根が六塵に触れるとき、いつも第八識が存在し、現れる。すべての界を遍るという意味は、六根には第八識があり、六塵にも第八識があり、六識にも第八識がある。すべての法を遍るという意味は、存在する法であれば、認識できるかどうかにかかわらず、すべて第八識が住持している。色法であれ心法であれ、すべて第八識が執持している。有為法であれ無為法であれ、すべて第八識が住持している。存在する法があれば、すべての人間や事物、物理現象には、すべて第八識が住持している。

多くの人は、念を離れた霊知の心が一体第六識か第八識かを理解していない。今、私たちはこの念を離れた霊知の心を分析してみよう。念を離れるという意味は、この時ちょうど念頭や妄想がないことであり、霊知という意味は、霊々として知覚し、自分自身が念を離れていることを知り、自分自身が念頭がないことを知り、自分自身が一時的に妄想や思考がないことを知り、念を離れた状態では、さらに他の境地を知ることさえできる。では、この念を離れた境地にはいったい何つの識があるのか？第八識はすべての時を遍るのであるから、この時間には間違いなく第八識が存在している。そうでなければ、五陰も存在しなくなり、七つの識も存在しなくなり、念を離れた状況も存在しなくなる。

この時、第七識は存在するのか？もちろん存在する。もし第七識が存在しなければ、衆生は無余涅槃に入ってしまい、念を離れた霊知の状況が現れることはまったくあり得ない。ここに第六識は存在するのか？もちろん存在する。五つの状況の場合を除いて、第六識は断滅する。それらの状況とは、眠って夢がない時、意識が昏迷している時、死亡している時、無想定に入っている時、滅尽定に入っている時である。しかし、念を離れた霊知はこれら五つの状況に属さない。これは、第六識の心も存在していることを示している。そして、自分自身が念頭がないという法塵の境地を知ることができる。これは、念を離れた霊知の時に、まだ知る心があるのは第六識であることを示している。念を離れた霊知の時に前五識が存在するかどうかについては、色・香・味・触の五塵が存在することを知ることができれば、それは五識が知っていることである。

念を離れた霊知の時には、少なくとも第八識、第七識、第六識の三つの識が存在する。もしある人がこの時に悟ったと言うのであれば、一体どの識を悟ったのか？ここには大きな違いがある。正しく悟れば、第八識を悟ることになる。間違って悟れば、第六識を悟ることになる。一般的に、第七識を悟ることは容易ではなく、第八識を悟ることも容易ではなく、これには特殊な条件が必要である。この特殊な条件とは、仏が言う菩薩の六度の条件である。六度の条件を備えていなければ、第八識を悟ることはできず、心を明らかにして真実の意味での大菩薩になることができず、凡夫の位から抜け出すことができず、その結果、未来永劫に三悪道に堕ちることがある。

もしある人の修行において、福德が不足しており、戒律を守っていなく、心性がまだ十分でなく、忍辱が不十分であり、布施、持戒、忍辱、禅定、般若の修学においても十分に精進しておらず、禅定も未到地定を備えておらず、仏法の知見も不十分であり、第八識の体性も理解していないのであれば、想像に難くないことだが、この人はいかなる場合でも第八識を悟ることはできない。もしある人がこの時に悟ったと思っているのであれば、自分自身が一体どの識を悟ったのかをよくチェックする必要がある。八つの識の体性をすべて学び、理解してから、自分自身や他人の悟りを判断すれば、何を悟ったのかがわかるだろう。